天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
「フン!」
アルテミアは右肩を入れ、体を真横にすると、氷の剣を突きだした。
「…」
ティアは、ゆっくりと瞼を閉じた。
恐らくは、瞼を閉じるよりも、剣が刺さるのが速い。
ティアは、そう確信していた。
しかし、数十秒たっても、剣が刺さった痛みがない。
砂の体とはいえ、刺されば痛みを感じる。
なのに、刺さっていない。
ティアは再び、目を開けた。
「!」
すると、剣先が額から数ミリのところで、止まっていた。
目を見開くティアから、アルテミアは剣を引くと、背中を向けた。
「待って!」
自分から離れようとするアルテミアを、ティアは困惑しながら止めた。
しかし、アルテミアは足を止めない。
「どうして、あたしを殺さない!あ、あなたの…」
ティアの瞳から、涙が流れた。
「お母さんに似ているから…」
その言葉に、アルテミアは足を止めた。
「あなたのお母さんと似ているから、あたしを殺さないの?」
まだ言葉を続けるティアに、アルテミアは顔をしかめた。
「チッ」
そして、舌打ちすると、振り返った。
「あんたとお母様は、違う!お母様は、あんたのように、簡単に命を捨てるような真似はしない!」
アルテミアは言い切ると、前を向いた。
「あたしは、勇者ティアナ・アートウッドの娘!自殺の手助けなどしない!」
アルテミアは、廊下の先を睨みつけながら、歩き出した。
「あああ…」
遠ざかるアルテミアの背中を見つめながら、ティアは自らのお腹に手を当てた。
「マルコ…。もし、あなたとの子供が産まれていたら…あの子のように、強い子になったかしら?」
ティアは涙を流しながら、笑った。
今さっきまで、自分は…愛する夫とお腹にいた子供を殺した社会に、復讐する為に、再び復活したと思っていた。
どうやら、それは違ったらしかった。
アルテミアの姿を見た時、ティアは自分の後悔を知った。
(ちゃんと…あの子を産んで上げたかった)
アルテミアは右肩を入れ、体を真横にすると、氷の剣を突きだした。
「…」
ティアは、ゆっくりと瞼を閉じた。
恐らくは、瞼を閉じるよりも、剣が刺さるのが速い。
ティアは、そう確信していた。
しかし、数十秒たっても、剣が刺さった痛みがない。
砂の体とはいえ、刺されば痛みを感じる。
なのに、刺さっていない。
ティアは再び、目を開けた。
「!」
すると、剣先が額から数ミリのところで、止まっていた。
目を見開くティアから、アルテミアは剣を引くと、背中を向けた。
「待って!」
自分から離れようとするアルテミアを、ティアは困惑しながら止めた。
しかし、アルテミアは足を止めない。
「どうして、あたしを殺さない!あ、あなたの…」
ティアの瞳から、涙が流れた。
「お母さんに似ているから…」
その言葉に、アルテミアは足を止めた。
「あなたのお母さんと似ているから、あたしを殺さないの?」
まだ言葉を続けるティアに、アルテミアは顔をしかめた。
「チッ」
そして、舌打ちすると、振り返った。
「あんたとお母様は、違う!お母様は、あんたのように、簡単に命を捨てるような真似はしない!」
アルテミアは言い切ると、前を向いた。
「あたしは、勇者ティアナ・アートウッドの娘!自殺の手助けなどしない!」
アルテミアは、廊下の先を睨みつけながら、歩き出した。
「あああ…」
遠ざかるアルテミアの背中を見つめながら、ティアは自らのお腹に手を当てた。
「マルコ…。もし、あなたとの子供が産まれていたら…あの子のように、強い子になったかしら?」
ティアは涙を流しながら、笑った。
今さっきまで、自分は…愛する夫とお腹にいた子供を殺した社会に、復讐する為に、再び復活したと思っていた。
どうやら、それは違ったらしかった。
アルテミアの姿を見た時、ティアは自分の後悔を知った。
(ちゃんと…あの子を産んで上げたかった)