天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
「何!?」

隣にいた香坂が驚く中、目映い光が高坂を包んだ。

「高坂ダイヤモンド!見参!」

ダイヤモンドの乙女スーツに包まれた高坂が、走り出す。

「高坂ダイヤモンドアタック」

光の塊になった高坂のぶつかりが、ヘビイチゴに炸裂した。

「!?」

ヘビイチゴの巨体に穴を開けて、通り過ぎた高坂。

次の瞬間、ヘビイチゴは爆発した。

「フッ」

高坂は笑うと、眼鏡を外した。

「高坂部長!」

緑と輝が、変身を解いた高坂に駆け寄った。

「そ、そうか…」

その様子を見ていた香坂は、小刻みに体を震わせた。

「やつらがあの…」

そして、無理矢理笑みを浮かべると、3人を指差し、叫んだ。

「お前達が、乙女戦隊月影か!乙女だと名乗っていながら、男とはな…。まったく盲点だったわ」

香坂は腕を組みながら、3人に近付き、

「学園でいつも騒動を起こすお前達を!あたしは、許しはしない!おとなしく、捕まりなさい」

びしっと高坂達を指差した。




「はっ!」
「フン!」

自分の攻撃をすべて防ぐサーシャに、乙女レインボーは軽く驚愕していた。

しかし、それは…サーシャも同じだった。

(ドラゴンキラーだけでは、傷付けられないか…)

エルフの血を引くサーシャは、微量ではあるが、魔力を発動させることができた。

(しかし…)

それを躊躇わせる何かが、乙女レインボーにはあった。

サーシャは改めて、距離を取ると、ドラゴンキラーの切っ先を乙女レインボーに向けて構え直した。

(だとしたら…この技しかない)

距離を取ったのは、サーシャの誘いだった。

その誘いに、乙女レインボーは乗ることにした。

腰をかがめて、蹴りの体勢に入る乙女レインボー。

「月影キック」

助走をつけてジャンプすると、サーシャに向かって足を突きだす。

サーシャは、刃を縦にした。

(いくぞ)

乙女レインボーの足を刀身に見立てて、刃を滑らす。
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