天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
(クッ!)

輝は顔をしかめた。

(そっくりじゃないか)

ブルーワルードにも、乙女ソルジャーはいた。

旧防衛軍の司令官だった結城哲也は、月の女神の力で新たな戦力を増強しょうとした。

その中には、月影ソルジャーの力も組み込まれていた。

「お前達は、邪魔よ」

学園の生徒達も巻き込んだ月下計画を阻止する為に、学園情報倶楽部は戦った。

しかし、乙女ダイヤモンドの力を手に入れた結城リオと…乙女レッドの力を手に入れた結城梨絵の姉妹に阻まれた。

その結果、学園情報倶楽部のメンバーは無期停学処分となったのだ。

「よわっちい〜犬ころ!」

輝を踏みつけて、笑う梨絵の姿が忘れられなかった。

(しっかりしろ!)

輝は、よみがえりそうになったトラウマをぐっと我慢すると、再び歩き出した。

「結城里奈さんだね。あなたに話がある。僕は、学園情報く」
「見つけたぞ!月影一派!」

里奈に話しかけた輝の後ろから、声がした。

「え!」
「い!」

驚く里奈と輝。

「学園情報倶楽部部長!香坂真琴!貴様を連行する!」

「え!」
「い!」

真琴の言葉にたじろぐ2人。

しかし、連れていかれたのは…輝だけだった。

「ええ!」

首根っこを掴まれて、廊下を引きずるように連れて行かれる輝を見送りながら、里奈は首を捻った。

「助かったけど…。なぜ?」





「とにかくだ。この世界の崩壊を防ぐ為に、我々はこの世界に呼ばれたと考えるのが、妥当だ!」

部室内で、高坂は緑とさやか…パソコンに向き合ったままの舞に告げた。

「都合がいい解釈かもしれないが、それ以外に我々がやるべきことはない」

高坂の力説に、舞はにやけながら、キーボードに指を走らせた。

検索サイトに、世界崩壊のワードを打ち込んだ。

画面上に現れる大量の文字を、目だけで舞は飛ばして読んでいく。

「ゲームとか〜映画とか…この世界は、滅びる話が好きですね」

舞は笑みを消して、画面を食い入るように見つめる。
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