天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
「結局!わからなかったじゃないの!」
真っ暗になった校舎内を歩く里奈と夏希。
「まあ〜そんな簡単にわかる訳がないけどね」
苛立つ里奈に、少し呆れながら溜め息をつく夏希。
見上げれば、月が出ていた。
「あたし…いくね」
正門を出ると、夏希はいつもと違う方向に歩き出した。
どうやら、学習塾に通い出したらしい。
「…やっと、暇になったと思ったのに」
夜の戸張の中へ歩いていく夏希の遠ざかる背中を、しばし見送った後、里奈は駅に向けて歩き出した。
「いくぞ」
里奈と夏希が正門を出てから5分後に、高坂とさやかが姿を見せた。
勝手に1人で前を歩く高坂に、さやかは少しふくれてしまった。
「折角…2人で見に行くのに」
二枚のチケットを手に取ると、深く溜め息をつき、
「そんな気分じゃ…いけないのは、わかるけども」
さらに足を速めた高坂の背中を軽く睨んだ。
「ぐずぐずするなよ」
高坂は足を止めることなく、ちらっと振り返った。
「フン」
さやかはチケットを握り締めると、スピードを上げ、一気に高坂を追い越した。
「あんたこそ、ぐずぐずするんじゃないよ」
振り返ると、自分を睨んださやかの剣幕に、高坂は思わず足を止めた。
「な、何…怒ってるんだ?」
首を傾げた高坂に、理由がわかるはずがなく、ただ足を速めた。
「レダ…」
和恵に見送られながら、ダブルケイを後にした麗菜は呟くように言った。
(恐らく…彼女は)
そして、口を紡ぐと、心の中で念じた。
(ああ…多分な)
頭の中に声が響いた。
「モード・チェンジ」
微かに唇を振るわせて、麗菜は言葉を発した。
「あっ!」
ドアを閉めようとした手を止めて、和恵は動きを止めた。
「大丈夫かな?」
ダブルケイからの帰り道は、少し暗い。
心配になって、店の前の道に飛び出した和恵が見たものは…見知らぬ背中だった。
「足…速!」
もう見えなくなったと判断した和恵は、店の中に戻って行った。
真っ暗になった校舎内を歩く里奈と夏希。
「まあ〜そんな簡単にわかる訳がないけどね」
苛立つ里奈に、少し呆れながら溜め息をつく夏希。
見上げれば、月が出ていた。
「あたし…いくね」
正門を出ると、夏希はいつもと違う方向に歩き出した。
どうやら、学習塾に通い出したらしい。
「…やっと、暇になったと思ったのに」
夜の戸張の中へ歩いていく夏希の遠ざかる背中を、しばし見送った後、里奈は駅に向けて歩き出した。
「いくぞ」
里奈と夏希が正門を出てから5分後に、高坂とさやかが姿を見せた。
勝手に1人で前を歩く高坂に、さやかは少しふくれてしまった。
「折角…2人で見に行くのに」
二枚のチケットを手に取ると、深く溜め息をつき、
「そんな気分じゃ…いけないのは、わかるけども」
さらに足を速めた高坂の背中を軽く睨んだ。
「ぐずぐずするなよ」
高坂は足を止めることなく、ちらっと振り返った。
「フン」
さやかはチケットを握り締めると、スピードを上げ、一気に高坂を追い越した。
「あんたこそ、ぐずぐずするんじゃないよ」
振り返ると、自分を睨んださやかの剣幕に、高坂は思わず足を止めた。
「な、何…怒ってるんだ?」
首を傾げた高坂に、理由がわかるはずがなく、ただ足を速めた。
「レダ…」
和恵に見送られながら、ダブルケイを後にした麗菜は呟くように言った。
(恐らく…彼女は)
そして、口を紡ぐと、心の中で念じた。
(ああ…多分な)
頭の中に声が響いた。
「モード・チェンジ」
微かに唇を振るわせて、麗菜は言葉を発した。
「あっ!」
ドアを閉めようとした手を止めて、和恵は動きを止めた。
「大丈夫かな?」
ダブルケイからの帰り道は、少し暗い。
心配になって、店の前の道に飛び出した和恵が見たものは…見知らぬ背中だった。
「足…速!」
もう見えなくなったと判断した和恵は、店の中に戻って行った。