天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
「誰が雑魚よ!」

「フン!生徒会の中でも、地位が中途半端な会計が、何をいうか。会計に、この学園の治安が守れるか!」

真琴は突然腕を組むと、勝ち誇ったように言葉を続けた。

「この学園の平和を守るのは、あたしだ!文句があるなら、お前の上を呼べ!」

「う、上って…」

いきなり、女の子のテンションが下がった。

「フフフ…。そうだったな。噂の生徒会長は行方不明。そして、副会長も事故で学校を去ったんだったな。実質…生徒会は、お前だけ…ククク…ハハハハ!」

高笑いを始めた真琴を見て、悔しそうに握り締めた拳を震わす女の子。

それを見て、さらに笑い続ける真琴。


(…)

どこかほったらかしにされた感がある輝はただ…女の子を見つめていた。

(レ、レベル高けえ〜)

しかし、ただ…ぼおっとしていた訳ではない。

(姉は、スレンダーボディに破壊力を見せつける2つの爆弾をそ、備えているが…)

輝は、真琴の胸元をちらっと見た後、女の子に目を戻し、

(これが同じ遺伝子を持つと思えないほどの違い!しかし!しかし!女の差は、胸じゃないないことを教えてくれる奇跡のバランス感覚!さらに、あどけないベビーフェイスを真っ赤にするほどの気の強さ!)

輝の心の中で、涙を流してくれた。

(神よ!あなたに感謝します!いろんな女性を用意してくれたことに!)

そして、心の中で敬礼した。

(犬上輝!確信しました!僕は、この世界で生きていけます!)

ぱっと笑顔になる輝。

(可愛い女の子がいれば、犬上輝は生きていけます!)

「…」
「…」

にやける輝を、いつまにか言い争いをやめた姉妹が見ていた。

「と、とにかく!」

咳払いをした後、女の子は視線を真琴に戻し、

「この生徒を解放して下さい!」

少し輝から体を遠ざけながら強い口調で言った。

「解放?」

真琴はわざと眉を寄せて見せてから、フッと笑い、

「誰を解放しろと?」

意味深げに女の子に訊いた。

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