天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
「帰ろうかな…」

里奈はそう決めかけた瞬間、廊下の先に誰かが姿を見せた。

「フフフ…」

身長150センチくらいのおっさん。

「お前は!」

「ハゲにチビ…二重苦を背負い…我は、闇に落ちた!」

「確か…」

里奈は思い出した。

「ハゲたおっさん」

「見たままか!」

突っ込みを入れると、男は頭に手をやった。

「我が名は、怪人バーコード!しかし!」

男は、着けていたカツラを取った。

「お前達に敗れてから…名を捨てたわ!」

バーコードのカツラを取ると、つるつるの頭が現れた。

「喰らえ!」

光輝く頭から、怪光線が発射された。

「く!」

里奈は、光線を避けた。

「相変わらず、ハゲ散らかしたカツラを被りやがって!」

「それが、私のポリシーだ」

「そんなポリシー!知るか!」

「喰らえ!パワーアップしたカツラアタックを!」

カツラを裏返し、腕に巻き付けると、頭を光らせながら、突進してくる。

「里奈!」

その時、ショックから立ち直った夏希が角を曲がってきた。

「汗と蒸せた香りの加齢臭パンチ!マックスエディション!」

「ごめんね」

里奈は躊躇うことなく、夏希の首を掴むと、加齢臭パンチの盾にした。

「!」

声をあげることもなく、気を失った夏希。

「貴様!友達を盾に!」

「うるさい!」

夏希の体で、テカリの直撃を防ぐと、里奈は怪人バーコードの股間を蹴り上げた。

泡を吹いて倒れるバーコードと夏希。

「絶対…帰ろう」

里奈は決意をかためた。




「状況はどうなっている!」

黒タイツの男のもとに、戦闘員が駆け寄る。耳元で報告を聞いた後、黒タイツの男は顔をしかめた。

「やはり…単なる変態ではやつらを倒せないか…。魔神軍団はどうした!」

「きぃ!」

後ろに控えていた戦闘員が、奇声を発した後、報告した。

「魔神ヘビイチゴは、プールに潜んでいます」

巨大な苺から、大量の蛇が生えているとう姿の魔神ヘビイチゴ。

しかし、今…プールは使われていない。
< 9 / 295 >

この作品をシェア

pagetop