トモくんとチハルちゃん
「何してるの?」
「え?あ、今日ね、チョコレート貰ったの。前から食べたかったやつだから嬉しいな~と思って。」
チハルちゃんの手には、四角い箱が握られていて、いかにも高そうなチョコレートのブランド名が書かれていた。
「誰に貰ったの?」
「会社の人ー。」
「ふぅん。…男の人?」
「うん。そうだよ。矢野くんっていうの。トモくんも食べる?」
4粒のうちの1粒をつまんで、差し出してきた指にドキドキしたけど、それどころじゃない。聞き捨てならないなぁ。
「いらないよ。」
「トモくん、どうしたの?」
不思議そうに覗き込んでくるチハルちゃんの手元を見ると、箱に何か付いているのが見えた。