トモくんとチハルちゃん



「何してるの?」


「え?あ、今日ね、チョコレート貰ったの。前から食べたかったやつだから嬉しいな~と思って。」



チハルちゃんの手には、四角い箱が握られていて、いかにも高そうなチョコレートのブランド名が書かれていた。



「誰に貰ったの?」


「会社の人ー。」


「ふぅん。…男の人?」


「うん。そうだよ。矢野くんっていうの。トモくんも食べる?」



4粒のうちの1粒をつまんで、差し出してきた指にドキドキしたけど、それどころじゃない。聞き捨てならないなぁ。



「いらないよ。」


「トモくん、どうしたの?」



不思議そうに覗き込んでくるチハルちゃんの手元を見ると、箱に何か付いているのが見えた。



< 118 / 153 >

この作品をシェア

pagetop