トモくんとチハルちゃん
スーパーを出てから、何となく聞いてみた。
「ねぇ、トモくん。さっきの“まだ”ってどういう意味?」
「まだ?俺、言ったっけ?」
「言ったよ。まだ奥さんじゃないですよー、って。ちゃんと聞いたもん。」
「あー…。あれかぁ。」
トモくんは、頭をぽりぽりと掻いて、袋を右手に持ち変えた。袋には、さっき勧められたソーセージが入っている。
「いずれは、って意味で言ったんだけど…。イヤだった?」
「……わかってるくせにー。イヤな訳ないよ。嬉しい。」
トモくんの大きな手に包まれた自分の手が、暖かくなってきた。
「グフフ、そっか。そっか。」
「うん、そうだよ。」
ゆったりとした夕方に、感じる幸せと空腹。
今日も、美味しいご飯作るからね。
だから、2人で家へ帰ろう。