トモくんとチハルちゃん




仕事が終わって、家に帰ると何か違和感を感じた。 



「ただいまー。」


いつもなら、きちんと揃えてあるチハルちゃんのハイヒールが、ひっくり返っている。


(仕事で何かあったな。こりゃ。)


キッチンへ続くドアを開けると、いつもと同じ様に、

「おかえりー。」

と、微笑んでくれるチハルちゃんがいた。



「うん、ただいま。」



あえて何も聞かず、いつも通り返事をして、隣の部屋に入った。



(溜め込むタイプだからなー。本当に心配になるんだよね。)  


スーツを脱いで、部屋着に着替えると、一呼吸置いてキッチンへ戻った。



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