彼奴、依存症。


桜の花びらはすっかりと散り、跡形もなく姿を季節の流れへと眩ませた。


木々には鮮やかな新緑が。










―――――五月。


あれからいつも通り、何の変哲もない毎日を過ごしていた。



部活には勿論入らなかった。


面倒だから。




爽やかな風があたしの髪を透き通る。


なんだかとてつもなく嫌な予感がした。





空は晴れ、雲ひとつない晴天だというのに。


嵐の前の静けさとでも言おうか。


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