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「けどその当時、俺とよくつるんでいた仲間がこんなことを言い出したんだ。

『地味子の桃井那智とつきあって、どこまでやれるか』って、賭けを言い出してきたんだ。

お前があいつらに利用される。

あいつらのいいように扱われる。

そう思った俺は、自ら名乗った。

それでお前を守れるなら、それでよかった。

あいつらの目をそらしてくれることを祈ってた」

「――それで、私とつきあったの…?」

そう聞いた私に、平林くんは首を縦に振ってうなずいた。

「でも俺は、ダメだった。

桃井とつきあえることになったのはいいけれど、あいつらの目が怖かった。

結局何にもできなくて、何にもない形で別れた」
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