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平林くんの後ろ姿を見送ると、
「あの、そろそろ離してもらえませんか?」

未だに私の肩を抱いている姫島係長に言った。

「それはヤダ」

ヤダって、あんたは子供か!

私よりも2つ年上なんですよね!?

「なっちゃんが好きだもん。

離れて欲しくない」

そう言った姫島係長に、
「――えっ…?」

私は聞き返した。

今、何て言ったの?

「今離したら、違うところに行っちゃうんでしょ?

だから、離したくない」

そのセリフに、私の心臓がドキッと鳴った。
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