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「私は、どこにも行きません!

だから、離してください。

そもそも、何しにきたんですか?」

意地を張っているなと、自分でも思った。

少しくらい、素直になれたらいいのに。

「お姫様に会った」

そう言った姫島係長に、
「――はっ…?」

私は聞き返した。

お、お姫様?

この人は一体何を言っているんだ?

「なっちゃんが逃げた後、落ち込んでいたら、エレベーターから小さな女の子が降りてきたんだ」

小さな女の子――もしかしら、ひまわりちゃんのことじゃないのだろうか?

あの子、あの人のお姫様だし。
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