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「お姫様が聞いてきたんだ。

どうしたんですかって、心配そうに」

彼女の心配そうな顔が目に浮かんだ。

親切な彼女のことだから、姫島係長のことは放っておけなかったんだろう。

「好きな人を助けられなかったって言ったら、お姫様はこう言ってきたよ。

“助けてあげてください”、って。

“彼女が好きなら、助けてあげてください。

わたしなら、そうしてあげます。

陣内さんのためなら、わたしは何でもします”って言ったんだ。

たくましい子だなって、思ったよ。

お姫様みたいにかわいいのに、健気で優しくてたくましい」
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