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そのとたん、私の視界がさえぎられた。

姫島係長に抱きしめられていた。

「よかった…。

やっと、なっちゃんの本当の気持ちが聞けた」

耳元でささやかれたのは、大好きな彼の声だった。

躰に感じる大好きな彼の体温に、改めて知らされる。

私は、姫島係長が好きなんだって。

「ずっと、大事にするから。

なっちゃんのことを大事にするから」

それに答えるように、私は彼の背中に両手を回した。

「姫島係長、大好きです」

素直に気持ちを伝えた私に、彼が優しく微笑んだ。
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