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* * *

その光景を、3人の男たちは会社の窓から見下ろしていた。

「やっと結ばれたねえ、あの2人」

ゆっくりした口調で抱きあう那智と姫島を眺めているのは、東雲だ。

「趣味が悪いですよ、東雲主任」

たしなむように東雲に言ったのは、南野だ。

「全く、少しはTPOをわきまえたらどうなんだ。

みんなが見てるぞ」

呆れたように言った後、指でこめかみを押さえたのは西山だ。

「でも社員同士の恋なんて珍しいものではないでしょう、西山部長?

ねえ、南野課長」

東雲から眼鏡越しに視線を投げられた南野は、
「まあ、そうですが…」

複雑そうな顔をするしか他がなかった。
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