1107
「恥ずかしくて死ぬかと思いました!」

「まあまあ」

なだめようと必死な姫島係長に対し、私は怒りが収まらない。

だって、人前だったのよ!?

そのうえ、大勢の人の前で抱きあってたのよ!?

まあまあで済まされるような問題じゃないでしょ!?

「けど俺は、なっちゃんの気持ちが聞けたから」

そう言って笑った姫島係長に、私は何も言えない。

何だかんだ言って、意外と私は彼に甘いのかも知れない。

「けど、TPOはわきまえてください!」

そんなことを考える私は呆れることしかできなかった。

「あ、お姫様」

そう呟いた姫島係長に、私は視線を向けた。
< 116 / 127 >

この作品をシェア

pagetop