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彼女がいた。

隣には当然あの人もいる。

肩を寄せあって笑う姿は、誰から見ても幸せな光景だった。

「お姫様には、それに見あった人がいるんだね」

2人を眺めている姫島係長が呟くように言った。

あの人が私に気づいた瞬間、私は会釈をした。

その様子を見ていたのか、
「今思ったんだけど、あの人と何か関係があるの?」

姫島係長が聞いてきた。

関係…あると言えば、ある。

でもあの人は、
「私を変えてくれた人なんです」

実らなかった恋は、今日のためのステップだったのかも知れない。

あの人に出会えたから、彼にも出会えた。

臆病で、根暗な私はもうおしまい。

これからは、隣にいる彼と日々を過ごす。

☆★END☆★
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