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よっぽど、いい男だったんだろうな。

美人な彼女と肩を並べる程に、いい男だったんだな。

会ったこともないその男に、俺は少し嫉妬した。

「あ」

彼女は思い出したように言って立ち止まった。

「そう言えば、名前をまだ聞いていなかったね」

彼女が言った。

そうだ。

俺の名前、まだ彼女に言ってなかった。

「姫島北斗」

俺は名乗った。

「ふーん…。

じゃあ、“姫ちゃん”ねー」

“姫ちゃん”か…。

この時、俺は思った。