1107
「一体どうやって親しくなったんだろうねえ」

給湯室からそんな会話が聞こえた瞬間、私は身構えて耳をそばだてた。

言われているのは、たぶん私のことだろうと思う。

「桃井先輩と姫島係長でしょ?

ホントにどこで出会ったんだろうね」

「と言うかさ、色目使ったんじゃんない?

何か桃井先輩、今年の夏ぐらいから色づいてんじゃん。

どう言う事情か知らないけど」

「あー、そう言えばそうだ。

おばさんが何を思って色気づいてんのって感じだよね」

おばさん…。

あんたたちみたいな若い人間から見たら、29歳は立派なおばさんでしょうね。

後1年で30代の仲間入りですし。

と言うか、色気づいてるって言うのは余計じゃないかしら?
< 26 / 127 >

この作品をシェア

pagetop