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心配そうに言って私に視線を向けてきた姫島北斗に、心臓がドキッと鳴った。

ドキッって、今の効果音は何なんだ?

「本当は、さっきのことを聞いていたんじゃない?」

「…気づいていた、んですか?」

恐る恐る出てきた言葉は、冷や汗そのものだった。

まさか、彼に気づかれていたなんて。

「気にしなくてもいいよ。

小さい子のイタズラだって思って忘れればいい訳だし。

この間まで学生たちだった子の嫉妬なんて、こっちからシカトすればいい」

そう言った姫島北斗に、
「…はい」

私は首を縦に振ってうなずいた。
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