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気づいていたとしても、私はあの人に何をしてあげられたのかな。

あの人が好き。

あの人の隣にいたい。

愛人でもいいから、セフレでもいいから、召し使いでもいいから、ただあの人の視界に入る距離にいたい。

ただ、それだけだった。

でも、かなわなかったんだ。

「今日のお夕飯は何にしようかな?

昨日は肉じゃがだったから、今日はお魚かな」

あの人の近くには、彼女がいたから。

私の目の前で、彼女は嬉しそうに笑いながら夕飯の献立を考えていた。

「どちらがいいと思いますか?」
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