1107
昨日の出来事を思い出したって言う訳じゃないけど、そんなことを言っていたような気がする。

私の記憶が間違っていなければの話だが…。

「それで君は俺のことを“姫ちゃん”って呼んでた」

ひ、姫ちゃん…?

姫島だから、“姫ちゃん”って?

「俺が呼んでって言ったんだけどね」

そう言った後、彼――姫島さんでいいか――はニッと歯磨きのCМみたいに白い歯を見せて笑った。

酔っていたとは言えど、あだ名で呼ぶのは失礼じゃないかしら?

そう思っていたら、
「そう言えば、今何時?」

思い出したように、姫島さんが聞いてきた。

「えっ、7時50分…」

私は目覚まし時計を見ると、姫島さんに時間を言った。
< 7 / 127 >

この作品をシェア

pagetop