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頭の中に浮かんだのは、高校時代の最悪な思い出だった。

私の見合いの相手が、
「――平林くんだなんて…」

クラスで1番のイケメンと言われて、つきあったけど自然消滅した平林くんだった。

私を賭けの商品にして、お金の道具として利用した彼である。

そんな彼が、私の見合い相手なの?

「――ジョーダンじゃないわよ…」

エイプリールフールも、ドッキリもいいところだ。

おぞましくて、忌々しくて、汚らわしい。

そもそも、何でこの人が私の見合い相手なの?

また私をバカにしにきたの?

また私を利用して、お金を手に入れようとしてるの?

気がつけば、私は受話器を手にとっていた。
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