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不景気がどうとか、安全がいいとかの理由で、私に自分の意見を押しつけた。

結局は自分の欲を満たしたいだけじゃない。

欲を娘に押しつけて、欲求不満から解放されたいだけじゃない。

「お断りよ!」

まだ何か言いたそうな母親をさえぎって、私は叫んだ。

「――那智…?」

娘の異常に、母親が腫れ物でも触るかのように名前を呼んできた。

それにも腹が立った。

もう我慢できなかった。

私はあんたのロボットじゃない。

聞き分けのいい、都合のいいペットじゃない。

「贅沢だから何よ!?

バチ当たりだから何よ!?」
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