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私はどこまで変わっていないのだろう?

どんなに外見が変わっても、中身はそのままだ。

臆病で他人の幸せを憎んでは、自分だけいい夢を見ることを望んでいた昔の私。

全くと言っていいほど、中身は変わっていない。

根暗な性格は、今も相変わらずだ。

誰の力も借りようともしない。

借りようとも思わない。

「俺じゃ、なっちゃんの力になれないの?」

呟くような声で、彼が言った。

「俺じゃ、なっちゃんの話も聞いてあげられないの?」

まるで泣いているかのように震えている彼の声に答えることができなくて、私は逃げ出した。
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