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平林くんが驚いて私を見つめた。

「今さら何しにきたって言うの?

話だけでも何なの?

何にも思っていないくせに、よくそんなことが言えるわね!

よくそんな姿で、そんな表情で、のこのこと私の前に現れたわね!」

ずっと、言いたかった。

高校の時からずっと、言いたかった。

あの話を聞いてしまったその時から、ずっと言いたかった。

「私が今までどんな思いをしてきたかわかってるの!?

私が聞いていないと思った!?

私が傷つかないと思った!?」

賭けの対象にされたと知ったあの日から、お金の道具にされたと知ったあの日からつらかった。
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