アキとにぃなの物語

母は私の前では一切涙を見せず、私を女手ひとつで育ててくれた。

保育園の先生:お母さん無理しないで頑張って下さいね。

母:ありがとうございます。今日は20時になると思います。すみませんがよろしくお願いします。
保育園の先生:わかりました。アキちゃんの夕ご飯こちらで用意しておきますね。

母:ありがとうございます。
アキ!先生の言うことしっかり聞くのよ!

アキ:はぁい。ママいってらっしゃい!

母と父は離婚し毎日母の帰りが遅くなった。 小さいながらに覚えているこの頃の母の背中。何も文句ひとつ言わないで私を育ててくれた。

保育園の先生:りえちゃん。お迎えです。

りえ:わぁぁい!!ママ!おかえりなさい。

保育園の先生:たっくんお迎えだよ!今日は誰かな??
お父さんです。

たっくん:わぁぁい!!お父さんだ!!おかえり!!


アキはいつも保育園では最後だった。

保育園の先生:アキちゃんお迎えですよ。

アキ:ママ!!!!おかえりなさい!!あしたはママ何時に帰ってくる?

母:明日は頑張って18時には帰ってくるね。

アキ:やったぁ!!アキ嬉しい!!

しかしその日も母の帰りは20時をすぎていた。

保育園の先生:アキちゃんお母さんだよ。

母:アキごめんね。
アキ:先生さようなら。
保育園の先生:はい。また明日ね!


私は母が頑張ってることを分かっていた。だからこそいつも帰りが遅くても我慢していた。母と二人の生活だから、母がいるだけで幸せだった。
けれど周りと比べる時だってあった。

この日は子供ながらに胸が少し傷んだ。


りえちゃん:今日はピアノのレッスンなんだぁ♪♪

たっくん:僕はプール♪♪

りえちゃん:ぢゃぁお迎え早いね(^O^)
たっくん:ママ今日は16時にはお迎えくるって
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