兄妹、初恋・・・
「…あれ、麻衣?もう起きてたのか。麻衣にしては早起きだな」
病室のドアが開いたとおもったら、ひろ兄が顔を覗かせてははっと笑って言った。
「……うん、夢…見たくないから」
私は俯いてもごもごと答えた。
するとひろ兄は気まずそうに頭をぽりぽりと掻いて、ベッドの方へと近づいてきた。
よく見ると、ひろ兄は手に大きな袋をぶら下げている。
「…その袋、何が入ってるの?」
別に特に気になったわけでもなかったけど、この気まずい空気が嫌で何か言おうと思っていたら、たまたまその袋に目がいったのだ。
「ん?あぁ、これか。これは、お前の…死んだ、母さんの、日記だよ」
そう言うと、ひろ兄は苦虫を噛み殺したような苦い顔でぱっと俯いてしまった。
『これは、お前の…死んだ、母さんの、日記だよ』