兄妹、初恋・・・
私が考え事をしていると、ひろ兄がこっちへ歩いてきた。
「麻衣、気分はどうだ?」
「うん、大丈夫…。ありがとう、大斗さん……」
私がそう名前を呼んだ瞬間、ひろ兄は硬直した。
そして、困惑したように私を見つめる。
「麻衣…どうしたんだ…?もしかして……」
そう言ったひろ兄の顔はとても辛そうに歪んでいた。
私は、そんなひろ兄から目を逸らし、俯くように頷いた。
「うん。私、思い出したの…あの日のこと…お母さんが、事故にあった日のことも、全て…。」
驚いたような、悲しいような、そんな表情で二人とも何も言えずに…
ただ、私のことを見つめていた…
そんな中、私は肯定の意味で再び頷き、そして、ぽつりと、でもはっきりと…呟いた。
「思い、出したの………」