兄妹、初恋・・・
「別に、焦って答えを出す必要はないんじゃないか?」
頭上から声が降ってきた。
今までずっと黙っていた大斗さんが、こっちをみて口を開いた。
綺麗な切れ長の二つの目が、優しく私を見つめる。
目があった。ただそれだけで、胸がドキッと高鳴る。鼓動が2倍にも、3倍にも速くなる。
“ひろ兄と離れたくない”
思わず言葉が出そうになった。
やっぱり、私はいつも傍にいてくれた“ひろ兄”が好きだ。
でも、幼い私をずっと支えてくれた“ひろ兄”も好きだ。
『麻衣のことは、俺が守るから。ずっと、傍にいるから』
私の意識が虚ろで、何度も何度も自分を責めるたび、“ひろ兄”はそういって抱きしめてくれた。
そして、頭を撫でて……
あの感触、あの匂い、ずっと憶えてた…
やっぱり、二人とも大切で、かけがえのない存在だ。
私は、どちらの“ひろ兄”とも離れたくない。