world LOST world
一貴の言葉には、
だれも反応することなく歩き出した。
「え! ちょ、待ってくれよ」
一貴が慌てて走ってきた。
「いっちゃん! 早く早く」
そんな中、松木さんは、
楽しそうに笑っていた。
その笑顔は優しくて、
俺を包んでくれてる気がした。
俺は金もない。
夢もない。
知識も、やる気も、欲も、
全くない。
『俺って?』
なんて、考えることは何度もあった。
毎日が平凡すぎで、
毎日が同じ事の繰り返しで、
でも、彼女に出会ってから、俺の世界に少しずつ…
色がついていったんだ。