world LOST world




美鈴の手は暖かくて、
たまに疑ってしまうんだ。


美鈴が病気だってことを…



美鈴は俺の手を握る力が弱くなった。


俺が美鈴の顔を見ると、
それに気づいた美鈴が言った。


「ねぇ星夜くん、あたしがどんな姿になっても星夜くんの側に居させてくれる?」


「当たり前だろ」


俺は周りの目も気にせず
美鈴の手を引き、抱きしめる。



俺の腕の中に美鈴が居ることを確かめるように…強く強く。


美鈴は俺の胸に顔を埋めながら言った。



「あたしの体がすごい痩せちゃっても側に居させてくれる?」


「あぁ」


「体が動かなくなって寝たきりになっても側に居させてくれる?」


「…あぁ」


少しずつ視界がぼやける。
俺の目に涙を溜まっていくのがわかった。






< 112 / 205 >

この作品をシェア

pagetop