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『ごめんね、星夜』

『ちゃんと好きだったよ』

『捨てられるのが恐いんだ』






『さよなら』





真冬はもう俺の中で
"過去"となっていたのに。



なぜ、今、目の前に居るんだ?



「星夜…」





真冬の目から涙が流れる。


なんで泣くんだよ?





「逢いたかった…」



そんな目で俺を見るなよ…




「逢いたかったよ、星夜」





少しずつ真冬が近づいて来る。


ヒールの音が一歩
また、一歩近くなる。






「星夜…」




真冬が俺に手を伸ばしそうとした時だった。














「やめろ!!」



辺りは急に静かになり
真冬はビクッと体を震わせた。


「名前を呼ぶな…近づくな! 触るな!」




俺は頭が真っ白になった。



「やめろ、やめろ!来るな!」






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