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「な、なんで…」




俺は呟くくらい小さく
か細い声で言った。




「抗がん剤治療ってね、完全に治るわけじゃないの、それに副作用があって髪が抜けたり吐き気がしたりするのよ」




「でも…」



それでも生きて欲しい…




「そんなみっともない姿、あなたには見せたくないって言ってたわ」




何言ってんだよ。
そんなこと言うなよ。


生きてくれよ。

どんなお前でも
俺は側にいるから…




「手術っていうのも考えたんだけどね」



その言葉に俺の体は反応した。


そうだよ。
手術して癌を全部取り除けば…






美鈴が助かる小さな光は…


「美鈴はまだ若いから進行が早くてね…癌細胞があにこちに転移してるらしくて手術は出来ないって」


簡単に消えてしまった。







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