world LOST world
病室の窓を見ると辺りはもうすっかり暗くなっていた。
時計を見ると8時を過ぎている。
「…じゃあ、俺そろそろ帰るわ」
そう言って席を立つと
美鈴が俺の腕を掴む。
「どうした?」
そう言って美鈴を見ると
口を動かし何かを言ってるようだった。
「何?もう一回言って」
俺は美鈴の口元まで耳を近づけた。
「…こな…い…で」
微かに聞こえたその声は
今にも消えてしまいそうで。
なぜか涙が出そうになる。
「…あし…た、こな…い…で…」
「なんでだよ?」
俺が聞くと辛そうに顔をしかめる。
「…おね…が…いっ…」
美鈴の目にはうっすら涙が溜まっていた。
「…分かった」