world LOST world




「美鈴…起きろよ」



俺は美鈴の手を強く握る。
握り返してこないその手を俺は力いっぱい握った。




「頼むから…頼むから起きてくれっ!美鈴!ダメだ!俺をおいて逝かないでくれっ!」











美鈴はよくあるドラマのように目を覚まして最後に愛の言葉を言ってくれたりはしなかった。















――――ピーピーピー…




「美鈴ー!!」




俺が呼ぶ声は美鈴には届かなかった。


近くで付き添っていた医師が腕時計を見て言った。






「20時47分、御臨終です」



美鈴の時間が止まった瞬間、
俺の未来から光が消えた。



美鈴と約束してたんだ
また海に行こうって。

それに、言ってじゃん。
将来は小学校の先生になりたいって。





「なにしてんだよ…」



まだ何も出来てねぇじゃねぇか。

何勝手に力つきてんだよ。
どうしてこんな美鈴ばかり苦しんでたんだ。


「…なんで」



さっきまでの微かなぬくもりさえ感じない美鈴の手。



「なんで美鈴なんだよ!」








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