world LOST world





大学に着くと晴と…美鈴が居た。



「星夜っ! 美鈴ちゃんから聞いたよ!」



晴はがそう言うと
その後ろで美鈴が小さくベロを出して笑っていた。



「やるなぁ!星夜ぁ」


と、肘でつついてくる晴。



「るせぇ…」



そんな、俺らを見て美鈴が笑っていた。




昨日、あんなに泣いたことなど無かったかのようにいつも通りに笑う美鈴を見て少し安心した。



でも、美鈴の目と俺の目が同じように腫れているのが泣いた証拠だ。



そして、晴と一貴は俺たちを抜かしてスタスタ歩いて行った。


すると、美鈴がチョコチョコと小走りで俺のそばに来る。


「晴ちゃんに言っちゃったっ」



と、上目遣い。
……ずるい。


「あぁ」


俺は短く返事をした。


「あれ?怒った?」


美鈴が俺の顔を覗き込み
また…上目遣い。


「別に怒ってねぇよ」


そう言うと美鈴はニカッと白い歯を出して笑う。





「目、腫れてんぞ」

「星夜くんもね」



と、二人で話てる俺たちを晴と一貴は保護者のような目で見ていた。


「見てんなよ」


俺が睨み付けると、


「付き合いたてって感じだな」

と、一貴は微笑んだ。

「星夜、さっきから透かしててキモーイ」

と、晴は顔を歪める。


全く、俺たちを餌に
楽しみやがってと、
俺はため息を漏らした。





< 96 / 205 >

この作品をシェア

pagetop