手をつなごう
第二章 裏切り
お盆だと言うのにお店は休んでくれない。


就職してからは田舎に帰省するのは年に一回程度になった。


早めに仕事を終えて家でいつも通りの時間を過ごしていた時だ。


千冬からのメールに目を疑った。


‐有紀何言ったの?私は彼と一緒に居られるだけで良かったの。
余計な事言わないで。


何て事だろう。


私はいつだって千冬の事を思っていた。


今回だって当然の事をしたはずだった。


慌てて千冬に電話をかけた。


「千冬?ゴメン私そんなつもりじゃ・・・」


「有紀、私は彼の事どんどん好きになってたの。」


有紀の声を遮るように千冬が声を荒げる。


「彼がもう会わないって。ねぇ好きな人に会えないのがどんなに辛いか分かる?
有紀には分からないね。」


痛いところをつかれて無言になる。


「有紀、もう切るよ。」


その日は千冬の声が頭に響いて眠れなかった。


何の解決策も見つからないまま朝がきた。



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