手をつなごう
「有紀ちゃーん。オレオレ。」


オレオレじゃないよ・・・


脳天気な声に少しムッとする。


「今日は千冬ちゃんと会えないから。有紀ちゃんにかけてみました。」


一気に憂鬱になる。


「何?」


「有紀ちゃん暗いよ。俺の事嫌い?」


どちらかと言うと嫌いだ。


「君の事よく知らないけど嫌い。」


「うわぁ」


耳元で叫ぶ。


「ボクの名前はユウタ。大学4年生で、趣味はサッカーです。」


ふざけたように自己紹介を始める。


後から知る事になるが小野雄太は23歳で大学4年生。


1つしか歳は変わらない。


「それで雄太君、何がしたいの?」


「有紀ちゃんってカワイイんでしょ。千冬ちゃんが言ってた。」


「そう。」


「この間電話した時有紀ちゃんが聴いてた曲、俺もめっちゃ好きなんだよ。」


「へぇー。」


ぼーっとしてたらいつの間にか雄太のペースになっていた。


雄太は独りでしゃべり続け、有紀の冷たい返事は絶妙なツッコミになった。


それから雄太からの電話が頻繁にかかるようになった。


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