手をつなごう
ベットの横に読みかけの本がある。


‐かわいい女になる為の条件‐


誠と別れた時に買ったものだ。


こういう類の小説をレジに持って行くのは恥ずかしい。


少しでも変われたらと勇気を出して買った本だ。


有紀だって自分が恋愛向きじゃない事を少しは気にしていた。


当たり前だが読んだだけで`かわいい女'に変われるわけがない。


恋愛に自信がなくなっていた。


「有紀ちゃんと俺、息ピッタリだよな。」


雄太の言葉を思い出してはっとした。


もしかしたら雄太のような関係が続くならうまくいくのかもしれない。


いやそれだけはダメだ。


優太は千冬の好きな人なのだから。


そう、それだけはダメ。


無理矢理納得して小さな恋のつぼみを咲かせないようにした。


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