手をつなごう
‐今から向かうから20時くらいに行ける。


優太のメールを確認して有紀は急いで仕事を切り上げた。


何の準備もなく仕事帰りに会うのが千冬に対するせめてもの償いになるような気がする。


約束の場所に近付くにつれて心臓の音が早くなる。


最初に何て言おう・・・


何を話そう・・・


・・・いいのかな。


直前まで決心がつかず足取りが重くなる。


「おぅ!ユッキー!」


目が合ってお互いを確認しあった。


「優・・・太?」


優太はいた。


いつも会う友達にするみたいに肩をポンと叩く。


「ユッキーやっと会えたな。」


ニッと笑う優太を見て有紀の心臓は高鳴った。


優太は電話と変わらない。


むしろドキドキしてしまうくらいタイプだ。


「ユッキー口数少ないな。具合悪いの?」


わざと変な顔して笑わせようとする。


「サッカーっぽい顔だね。」


「サッカーぽいだろ。」


なんだかよく分からない会話に2人で笑う。


優太はサッカーをしてるだけあってスポーツ体系。


23歳には見えないほど童顔だが恋愛では苦労した事がなさそうだ。


イマドキのかっこいい男の子なのだ。


「ユッキー背小さくてビックリした。」


子犬のような人懐こい笑顔で有紀を見る。


予定通り有紀のマンションに向かう。


少し話してCDを貸す約束をしていた。



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