手をつなごう
第三章 二人の関係
「時間大丈夫?」


有紀の問い掛けは雄太に聞こえているはずだ。


「駅まで送って行く?」


一瞬何が起きたのか分からなかった。


有紀は押し倒されて雄太を見上げていた。


突然の出来事に頭がついていかない。


「我慢出来ない・・・」


雄太はそう言うと力を入れた。


思い出したように抵抗する有紀を雄太は強い力で抑える。


男の力にかなうわけなどない。


諦めて抵抗しなくなった有紀を見て雄太は始めた。


慣れた手付きで服を脱がせると雄太も裸になった。


もう止められない。


こんな事は初めてじゃない。


だけど雄太は違うと思っていた。


「もう会わないから。」


雄太は何も反応しない。


有紀に覆いかぶさると腰を打ち付ける。


力とは裏腹に優しいセックスだった。


いつの間にか雄太の背中に手を回していた。


もう会わない・・・


そう決めたのだ。


雄太は果てるとそのまま眠りについた。


愛のないセックスほど喪失感のあるものはない。


それが好意を抱く相手なら尚更である。


背中合わせにして横になると有紀も目を閉じた。


< 19 / 21 >

この作品をシェア

pagetop