手をつなごう
休憩中に千冬のメールに驚いた。


‐彼と何話したの?


別に隠していたわけじゃないが一瞬ドキっとした。


‐特に話してないよ。千冬の事気にしてたよ。


言葉を選んだつもりが逆に気にさせてしまった。


‐私の事なんて?


その言葉に戸惑った。


何故有紀に電話したのかと千冬は不満そうである。


夜電話で話す約束をして仕事に戻った。


仕事中はプライベートを持ち込まない。


いや、忙し過ぎて他の事を考える余裕なんてない。


お客様の相手をするだけが仕事ではないのだ。


次の店長会議で使う資料が手付かずのまま残っている。


さっと髪を結って机に向かうとスタッフの1人に話しかけられた。


「休憩中に仕事ですか?店長また皆で飲むんですけど一緒に行きましょうよ。」


自分と歳の変わらない有紀を皆慕っていた。


誰の前でも態度の変わらない有紀は人の上に立つのは合っている。


そんな有紀の性格がお店の雰囲気を作っていた。

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