手をつなごう
思ったより帰りが遅くなってしまった。


携帯を開くと千冬からのメールがあった。


‐実は彼昨日もウチに泊まって行ったんだけど、私の事どう思っているのか聞けなくて。


昨日泊まった?じゃ今朝は千冬の家の帰りに電話してきたのか。


千冬は恋には強い。


自分からガンガン攻めるタイプ。


どうやら今回は思い通りに行っていないようだ。


電話の向こうの千冬はひどく落ち込んでいた。


また身体を許してしまったとため息をついた。


こんな時悩むのは女の方だ。


男なんてケロっとしているものだ。


後で本気じゃなかったなんて言うのは男の方。


「本気になりそうで怖い・・・。」


そう言う千冬に、焦らずに考えようと励ます。


そんな事しか言えない。


家に着くと音楽をかけてアロマオイルをたいた。


最近のお気に入り、グレープフルーツの香り。


心が落ち着く唯一の時間。


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