大切な人を亡くしても〜未来へ〜



 数日前、そんな現実離れした私を、心配した友人が付き添って事故現場に連れて行ってくれた。


 しかし、時間が経っていたせいか、もう跡形もなく、花束が手向けられているだけだった。



 想太はこの住宅街の交差点に倒れ込んで、最期に何を想ったのだろう?


 信号無視をし、なおかつ飲酒運転をした乗用車に彼は跳ねられた。


悔やんでも、悔やみきれない事故だった。



 病気一つしたことなんてない、健康体の持ち主だったのに。



 どうして彼が、事故に巻き込まれなければならなかったのだろう。



 どのくらいの痛みに、苦しんでいたのだろう。

考えても考えても、答えは見つけられない。
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