”ただ、愛されたかった…”

 茂からの告白…。

 瑠理は、美樹の事が、頭に浮かんだ…。

 美樹は、好きだった男と引き離されて、今一緒に暮らしている。

 心は、きっと傷ついてる…。

 自分だけ、茂と楽しくやってたら、美樹はつらいと思う…。

 それにもう一つ、頭に浮かんだのは、仕事の事。

 弥生さんが、結婚して、自分が弥生さんのお客様を引き継いでる…。

 思ったより大変で、気持ちに余裕がない…。

 どっちにしても、今、茂と付き合うのは、無理があるかも…。


 「あのね、茂、今、お店、弥生さんが辞めて、大変なの…。

 正直…気持ちに余裕がない…ごめん…。」

 瑠理は、美樹の事は話さずに、仕事の事を話した…。

 「瑠理が、仕事一生懸命やってるの、俺も知ってるし…。頑張ってほしいと思うよ。

 …多分、来月仕事で大阪にいく。いつ帰ってこれるかわからない…。

 それで、自分の気持ち、瑠理に伝えたかった…。瑠理には、瑠理の事情があるし。

 仕事頑張よ!」

 ”茂が、大阪に行ってしまう…今までみたいに、もう会えない…。”

 茂の話を聞いても、瑠理は、どうする事もできなかった…。


 茂と別れて家に帰ってきてからも、ぼんやり考えてた…。

 大事な事、伝えてなかった…。

 ”私も、茂が好き”

 やっぱりどこか、瑠理は、ぬけてる…。
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