”ただ、愛されたかった…”
第三章 灰色の日々

衝撃

 「瑠理、美樹ちゃんまだ預かるつもり?もう、彼氏も出来て

 傷は癒されたと思うよ。瑠理の家にいる意味が、わからない。」

 ゆかりは、お昼のランチを食べながら瑠理に言った。


 「…そうなんだけどさ~」

 瑠理は、ランチのパスタをフォークでクルクルしながら、気の無い返事。

 「おばさん(瑠理の母親)なんて言ってるの?」

 「彼氏が出来たときは、怒ってたよ。でも、最近はもう、何にも言ってない。」

 瑠理の母親は、褒められる事に弱い。

 美樹は、そういうのがかなり上手い。それで、瑠理の母親も、叱るチャンスを

 見逃してしまう…。





 「そういえば、今度の日曜日、茂、帰って来るらしいよ」

 いきなりゆかりが、言った。


 「そうなの?まだ、先週、大阪行ったばかりじゃん。」

 瑠理は、そう言いながら、ドキッとした。


 ”もう、関係ない事なのに…”


 「みんなから、ブーイングなの!まだ、懐かしくも何でもないって。」

 「そうだよね。」


 二人は、笑った。
 


 

 
< 128 / 207 >

この作品をシェア

pagetop