”ただ、愛されたかった…”
 「あんたは、友達がいっぱいいるね。私なんか、本当に乏しいもんよ。

 でもね、友達なんて、欲しいなんて思わないわ。」

 瑠理の母親が、水割りを飲みながら、そう言う。


 「私は、友達が大切なの。」

 瑠理は、母親の言い方が、おもしろくない…。


 「あんたが、困った時、友達がなんかしてくれるのか?してくれないよ。」

 母親は、瑠理の気持ちをいたぶるかのように、笑って言った。


 「もう、お母さんには、関係ないの。私が、大切だと思うから大切なの!」

 瑠理は、だんだんイライラしてくる…。


 瑠理のする事は、否定ばかりする。

 瑠理を、なにかにつけて、追い込むのだ…。


 自分の愚痴は、聞かせるのに、瑠理の愚痴には、付き合ってくれない。

 そんな関係の中で、だんだん覚えていった…。


 めんどくさい話しは、母親に、話しては…いけない…。


 ”受け止めて貰えないから、最初から、ボールも投げない”


 そうすれば、傷が、増えないで済む…。
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