”ただ、愛されたかった…”
 美樹が、自分の家に戻って、母親と愛犬チャチャとの暮らしに戻った。

 母親は、相変わらず、晩酌をしながら愚痴っぽく言う…。

 「あの子(美樹の事)は、一体何しに来たんだろうね。

 若いのにしたたかな子だったよ。」

 瑠理は、聞きたくなかった。

 特に、美樹の話題には、触れて欲しくなかった…。


 母親は、自分の気持ちに正直だ…。

 少し、羨ましい…。

 でも、その言葉で、傷つく事が多いのも事実だ。


 美樹から言われた”瑠理ちゃんみたいになって欲しくない”

 あの瞬間から、小さな空洞が、心にできてしまった気がする…。
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